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公認心理師試験対策:①公認心理師としての職責の自覚

はじめに

本記事は、2019年に実施される第2回公認心理師資格試験の自主学習のために、
ブループリントの項目順にキーワードとその概要を並べていきます。

ブループリントのPDFファイル

今回は、第一回として、ブループリントの大項目1「公認心理師としての職責の自覚」についてまとめていきます。

公認心理師としての職責の自覚

公認心理師の役割

公認心理師法リンク

公認心理師法では、公認心理師のことを以下4つを行う者と定義しています。

 一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
 二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 四 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供を行うこと。

また、学部、大学院において心理学や公認心理師となるために必要な科目を修め、課程を修了した者が試験を受けられるようになっています。
実は移行期間などの関係から、実務経験がすでにある方は受験できる場合もあるため正確にそうだとは言えませんが、
以上の定義から、心理学を専門とする実践集団であると言えます。

公認心理師の法的義務及び倫理

公認心理師の法的義務と罰則

公認心理師法では、公認心理師の法的義務を以下のように定義しています。

 1. 信用失墜行為の禁止
 2. 秘密保持義務
 3. 連携等
 4. 資質向上
 
また、公認心理師名称独占資格のため、公認心理師を名乗れるのは公認心理師のみであり、
公認心理師でない者は名称の中に「心理師」を含むことも禁じられています。
ちなみに、これを破って名称に「心理師」を含めた場合は第四十九条に基づき三十万円以下の罰金が科せられます。

その他、秘密保持義務を破った場合には一年以下の懲役または三十万円以下の罰金が科せられます。

罰則については、公認心理師法をみる限りだと最も重くて「一年以下の懲役または三十万円以下の罰金」と書いています。
また、罰則については「懲役」か「罰金」しかワードが出てきません。

(一度公認心理師関連のなにかの問題で「禁錮」というワードが出ていましたが、こういった書き方の場合、禁錮に処される例はあるのでしょうか。
ないなら「禁錮」というワードが出た時点で選択肢から外せそうなものですが…)

倫理的ジレンマ

「倫理的ジレンマ」というキーワードは、医療現場でよく見られるもののようです。
医療の倫理的ジレンマとは、Wikipediaでは以下のように定義されています。

「ある医療行為の倫理的妥当性あるいは倫理的根拠を論じる際、より所とする倫理原則によって、全く異なる結論が導かれてしまう状態を指す。」

つまり、施した医療行為が正しいか否かは、背景とする倫理原則によって変わってくるということです。

心理師にも同じことが言えます。
例として、「タラソフ事件」が挙げられます。

こちらの記事で解説されていました。)

タラソフ事件とは、ボダーという男性の精神病患者がタラソフという女性を殺害した事件です。
この事件で重要なのは、治療者が「ある女性を殺そうと思う」と言っていたことを守秘義務に基づいてタラソフに伝えなかったことにあります。
この事件をきっかけに、専門職には、以下の警告義務が課せられるようになりました。

 1. 犠牲者となり得る人に対してその危険について警告する
 2. 犠牲者となり得る人に対して危険を知らせる可能性のある人たち(家族や親しい友人)に警告する
 3. 警察に通告する
 4. 他に、その状況下で合理的に必要と判断される方法を、どのような方法出会っても実行する
 
また、上記のような警告だけでなく、犠牲者となりなり得る人を積極的に保護することを求めていることから、
「保護義務」とよばれるようになっています。

ここで「ジレンマ」になるのは、患者の話が守秘義務を破るほど危険度が高いかどうかを判断するところにあります。
上述したように、基本的に守秘義務は守るべきもので、破ると厳しい罰則が科せられます。
そんな中でどこを守秘義務を破るラインとするのかはかなり難しい問題です。

多重関係

多重関係とは、「治療者ー利用者」以外の関係を持つことです。
心理師はこの多重関係を避けるようにします。
以前、フジテレビ系で放送された「ラヴソング」という福山雅治さんが臨床心理士を演じたドラマでは、
藤原さくらさん演じるヒロインと面接室外のいろんな場面で会ったりしていましたが、
あのような場面はほとんど(多分絶対に)ありません。
面接室外で治療者と利用者が一緒にいる場面は基本的にすべて治療に関わる活動のために外に出ます。
例えば、電車に乗ることに過剰な恐怖を抱く患者さんの恐怖心を和らげるトレーニングの一環として一緒に電車に乗るといった場面です。

以上の考え方は、「相手を利己的に利用しない」という職業倫理の原則に基づいています。

心理に関する支援を要する者等の安全の確保と要支援者の視点

ここでは自殺のリスクに着目します。
自殺は全世界で年間100万件以上あり、全死亡例の2.5%を占めています。
自殺者の大多数は自殺念慮を有しており、事前に何らかの自殺のサインを発しています。
自殺のリスクとして、以下が挙げられます。
 ・自殺念慮
 ・強い抑うつ気分
 ・睡眠障害
 ・食欲低下
 ・強い焦燥
 ・微小妄想(罪業妄想、貧困妄想など)
 ・家族や身近に自殺既遂者がいる
 ・重い身体疾患や慢性疼痛がある

また、以下のような喪失体験が「環境リスク因子」に挙げられます。
 ・死別
 ・離別
 ・経済的損失
 ・社会的地位の損失

以下は、「行動リスク因子」として挙げられます。
 ・アルコール濫用
 ・危険運転
 ・ギャンブル
 ・人間関係上のトラブル増加
 ・自己破壊的行動や反復される自傷、自殺企図

自殺手段の準備や計画が具体的になったり、身辺の整理などが見られると差し迫ったリスクを示唆します。

自殺リスクの高い人は、自殺が唯一の解決法だという考えに至っていることが多く、
一方で生き続けたいという希求もあって、誰かに気づいてほしい、
理解してほしいという希望も残っていることが多いです。

以上のようなサインを察知して、気づく、声を掛ける、
自殺以外の解決法を検討できるよう視野を広げられる支援をすることが重要です。

情報の適切な取扱い

秘密保持義務と例外

上述のように、公認心理師には秘密保持義務が課せられています。
したがって、適切な手段で秘密を守っていく必要があります。

一方で、上述の倫理的ジレンマで紹介したように、公認心理師には
「警告義務」や「保護義務」もあり、必要に応じて情報を開示する場合があります。

公認心理師現任者講習会テキスト2018年版』では、秘密保持の例外状況として以下8点を挙げています。

 1. 明確で差し迫った生命の危機があり、攻撃される相手が特定されている場合
 2. 自殺等、自分自身に対して申告な危害を加えるおそれのある緊急事態
 3. 虐待が疑われる場合
 4. そのクライエントのケア等に直接関わっている専門家同士で話し合う場合
    ※相談室内のケースカンファレンスなど
 5. 法による定めがある場合
 6. 医療保険による支払いが行われる場合
 7. クライエントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判等によって提起した場合
 8. クライエントによる明示的な意思表示がある場合

特に、「8. クライエントによる明示的な意思表示がある場合」のクライエントの意思表示は慎重に確認するべきでしょう。
具体的には、「誰に」、「何を」、「なんのために」伝えてよいのかを明らかにしておく必要があります。

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントは、「十分な情報を得た(伝えられた)上での合意」です。
つまり、十分な情報を伝えること、そしてその上で同意を得られることが重要です。
情報が不十分であったり、治療者にとって都合良く偏らせた情報が伝わった状態で同意を得るようなことはあってはなりません。
治療に際して先に伝えられないような情報が存在するケースもあります。
その場合は、その情報が治療効果に影響を与えなくなった時点(治療終了時など)にデブリーフィングを行うことも重要でしょう。

インフォームドコンセントで伝える内容は以下が挙げられます。
 1. 援助の内容、方法
  ・目的や目標
  ・取りうる援助方法の効果とリスク
   →各手法を比較できるような形で情報提供するほうが望ましい。
 2. 秘密保持
  ・秘密保持の仕方と限界
  ・秘密保持義務の例外について
  ・記録には誰がアクセスできるのか
 3. 費用
  ・面接にかかる費用など
 4. 時間
  ・面接時間

保険医療、福祉、教育、その他の分野における公認心理師の具体的な業務

心理検査

後日、心理検査をテーマとした記事を追加します。

心理療法

後日、心理療法をテーマとした記事を追加します。

チーム医療

チーム医療とは、以下のように定義されます。
 「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に
  目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完しあい、
  患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」

所感ですが、多種多様な医療スタッフが同一の目的を共有することに
難しさがありそうに、短い経験から思います。
おそらく「目的と情報を共有する」というのはそれぞれの専門家が
それぞれの医療行為、医療関連行為において目的と情報を開示すること、
それぞれの目的が「患者の症状を治療する/緩和する」大目的に合致している
ことが共有されることが求められているのだろうと個人的に考えます。

虐待への対応

まず、虐待とは、児童虐待防止法では以下のように定義しています。
 「児童の人権を侵害し、心身の成長及び人格の形成に重大な影響を
  与えるもの」
  
そして、虐待は以下の4種類に分けられます。
 1. 身体的虐待
  ・児童の身体に外傷が生じる、あるいは生じる恐れのある暴行を加えること
 2. 性的虐待
  ・児童にわいせつな行為をすること、また児童をしてわいせつな行為をさせること
 3. ネグレクト
  ・児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食または長時間の放置
  ・保護者以外の同居人による虐待と同様の行為を放置すること
  ・その他保護者としての監護を著しく怠ること
 4. 心理的虐待
  ・児童に対する著しい暴言または拒絶的な対応
  ・児童が同居する家庭内での暴力(夫婦間でのDVなど)
  ・その他児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに児童相談所へ通告しなければならない
「通告義務」が課せられています。
通告後は、情報収集と安全確認の後、処遇方針を決定し、継続的支援を実施します。

また、虐待の発生予防として、子育て支援や母子保健活動、虐待を行わないための教育などが実施されています。
虐待につながるリスクとしては、以下が挙げられます。
 ・経済的困窮
 ・地域からの孤立
 ・うつ病などの保護者の疾病
 ・依存(ギャンブル、アルコールなど)

カウンセリング

カウンセリングとは、以下のようにWikipediaでは定義されています。
 「依頼者の抱える問題・悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談援助のことである」

「カウンセリング」の何を問うているのかがブループリントだけではちょっとわからないですね・・・


今回は以上です。

参考文献

一般財団法人 日本心理研修センター監修『公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版』金剛出版