記事紹介:A Daily Diary Study on Sleep Quality and Procrastination at Work: The Moderating Role of Trait Self-Control
一言でいうと
self-controlが低い人は,睡眠の満足度の低さに応じて仕事を先延ばししやすくなるよ。
内容
仕事の先延ばし(work procrastination)とは
- 回避行動の一種であり,タスク遂行に関するネガティブ感情を調整する働きがある
- well-beingやパフォーマンスの低下につながる
self-controlとは
自分の内なる反応を無効にしたり、変えたりする能力、および望ましくない行動傾向(衝動など)を中断し、それに基づいて行動することを控える能力
多くの実験で,self-controlが低い人は,将来の大きな報酬よりも目先の小さな報酬を優先して取る傾向があることがわかっている。
先延ばしについても同様で,将来の大きな罰よりも目先の小さな罰を優先して回避する。
つまり,後のことは後で考えるとして,とにかく目先のことをなんとかしたい人が多い。
設定された仮説
1.夜間の睡眠の満足度の低さと翌日の仕事の先延ばしが関係する。
※本文では"Quality"と書いていますが,実際に測っているのは満足度なのでそうしてます。
2.self-controlが高い場合には,1.の関係が弱くなる
方法
71名を対象とした質問紙調査。
self-control特性を先に測定の上,日常的に仕事の先延ばしと昨夜の睡眠の満足度を測定。
結果
仮説通り,
- 夜間の睡眠の満足度と翌日の仕事の先延ばしに相関がみられた。
- self-controlが高い場合には,睡眠の満足度の低下に応じた仕事の先延ばしの増加はみられなかった。
所感
心理支援を行っている中でも,先に睡眠の問題に取り組んで,良くなった頃に色々と活動の幅が広がっている事例が多い気がする。
この経験と照らし合わせると,行動活性化の効果を高めるためにも,睡眠の問題を改善しておくことが大事かもしれない。