Muji Blog

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公認心理師試験対策:(14)心理状態の観察及び結果の分析

はじめに

本記事は、2019年に実施される第2回公認心理師資格試験の自主学習のために、ブループリントの項目順にキーワードとその概要を並べていきます。

ブループリントのPDFファイル

今回は14番目、「心理状態の観察及び結果の分析」についてまとめていきます。
この項目は出題割合が8%です。第2回の試験の出題割合としては2番目に高い値です。
というのも、この項目は心理検査や心理アセスメントについての心理師にとって重要な話題です。

心理状態の観察及び結果の分析

関与しながらの観察

精神科医であり社会心理学者であったサリヴァンが提唱しました。
客観的な観察者にとどまるよりも、自らが観察対象に関与しながら観察することで、問題の構造をより理解しようという考え方です。

主に幼児や児童を対象として行うプレイセラピーも、子どもとの関わりの中で子どもを観察することによって、対人関係における問題構造を体感的に理解することができます。

心理検査の適応、実施及び結果の解釈

実施上の留意点

心理検査の計画、実施の順に留意点をまとめていきます。

1. 心理検査の計画

心理検査の計画段階では、どの検査を実施するか選択することから始まります。
心理検査を選択する上では、複数のテストを組み合わせること(テストバッテリー)がほとんどですが、その際に留意すべき点があります。

第1に、「何を組み合わせるか」です。
組み合わせ方には、「縦」と「横」の両方向があります。

「縦方向」の組み合わせは、評価対象が同一で検査手法の違う検査を組み合わせることで、意識レベルの違いで統合的に評価することを目的とした組み合わせです。
例えば、パーソナリティの傾向を理解するための検査を実施する場合に、MMPIという質問紙法による検査とロールシャッハ・テストという投影法のテストを組み合わせるとします。
どちらもパーソナリティ傾向を理解するためのテストですが、質問紙で意識的な傾向、ロールシャッハ・テストで無意識的な側面も含めた傾向をみようとします。

一方で「横方向」の組み合わせは、評価対象の違う検査を組み合わせることで被検者を多角的に見ようとすることを目的とした組み合わせです。
例えば、子どもの学校の適応についてアセスメントするときに、知能検査とP-Fスタディという欲求不満耐性を理解するテストを組み合わせたとします。
この場合、知能検査で学業上での適応のつまずきはないかを確認するとともに、P-Fスタディで対人交流場面における欲求不満に対してどう関わっているのかを理解しようとします。

第2に、「どう組み合わせるか」です。
テストバッテリーを組んだとき、どの順番で行うかは重要です。
もし1つ目のテストの心理的負荷が大きい場合、2つ目のテストではエラーを起こしやすくなる可能性があります。
例えばMMPI(性格検査)とWAIS-Ⅲ(知能検査)を組み合わせたとします。
MMPIは550項目の質問に回答し、まともにやれば60分程度かかります。
また、WAIS-Ⅲは様々な問題を解くもので、90分程度かかります。
これらを何らかの理由で1日でやりきってしまわなければならないとします。
MMPIとWAIS-Ⅲをどちらからやるのが良いか、見解が分かれるかもしれませんが、MMPIを先にやり、続いてWAIS-Ⅲを実施するといった流れだと、検査によってかかった負荷がWAIS-Ⅲのパフォーマンスに影響するといったリスクが発生します。
なるべく普段どおりのパフォーマンスを理解するならば、WAIS-Ⅲから行い、MMPIを行う方が良いと判断されやすいでしょう。

心理検査の種類や検査対象などがこの文献で整理されていました。

また、次項の心理検査の実施の話にも関わりますが、計画段階では「何のために検査を実施するのか」を明確に定義しておくことが必須です。

2. 心理検査の実施

実施の際に真っ先に考える必要があるのは、被検者から検査の同意を得ることです。
インフォームド・コンセントとは、「十分な情報を得た上での同意」です。
検査においても、インフォームド・コンセントを取ることが必要です。

インフォームド・コンセントを取るためには、前項で必須とした「何のために検査を実施するのか」、検査目的を明確にし、計画したテストバッテリーがその目的に沿っていることを示す必要があります。
ここが疎かになると、検査を受けてもらえないか、受けてもらえてもまともな結果は得られません。

また、次項での結果の解釈に関わる点として、検査そのものの結果だけでなく、受検中の被検者の様子(受検態度、被検者からの質問内容など)も重要な情報で、記録しておくことが求められます。


今回は以上です。
次回は(15)「心理に関する支援(相談、助言、指導、その他の援助)」をまとめます。