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公認心理師試験対策:(19)司法・犯罪に関する心理学

はじめに

本記事は、2019年に実施される第2回公認心理師資格試験の自主学習のために、ブループリントの項目順にキーワードとその概要を並べていきます。

ブループリントのPDFファイル


今回は19番目、「司法・犯罪に関する心理学」についてまとめていきます。
この項目は出題割合が9%と出題割合が最も高いです。
公認心理師が専門的な活動をする5つの領域(保険医療、福祉、教育、司法、産業)のひとつに関わる話題のため、重点的に出題されるものと思われます。

今年追加されたキーワードは中項目(2)司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理的支援の以下4項目です。

  • 非行・犯罪の理論
  • 非行・犯罪のアセスメント
  • 施設内処遇と社会内処遇
  • 司法面接

司法・犯罪に関する心理学

司法・犯罪分野における問題に対して必要な心理的支援

非行・犯罪の理論

非行とは、以下のように定義されています。

広義には,反社会的な逸脱行動を意味する。この意味では,成人についてもあてはまるが,1948年に改正された現行の少年法にこの用語が盛り込まれたのを契機に,一般用語としても,特に青少年の行為を指して用いられるようになった。少年法の規定では,20歳未満の青少年の,保護処分となる〈犯罪行為〉〈触法行為〉及び〈虞犯〉の三つを総称して〈非行〉とする。近年非行の低年齢化が社会問題となっている。

引用元は、以下の記事の「百科事典マイペディアの解説」です。
kotobank.jp

引用にもあるように、非行そのものは成人にも当てはまりますが、特に少年による反社会的な行動に着目されています。

少年の非行に関して、少年法では以下のように区別されます。
elaws.e-gov.go.jp

種別 内容
犯罪少年 罪を犯した少年
触法少年 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
ぐ犯少年 将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年

ぐ犯少年は、特に以下の事由が認められることを前提としています。

  • 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
  • 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
  • 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
  • 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

非行のリスクファターとして、以下の記事でまとめられています。
www8.cao.go.jp


少年院に収容されている少年に対して、ACE(Adverse Childhood Experiences 逆境的小児期体験)調査を行なった結果、以下の点で共通していることがわかりました。

項目 内容
身体虐待 くりかえし身体的な暴力を受けていた(なぐられる,けられる,など)。
心理虐待 くりかえし,心理的な暴力を受けていた(暴力的な言葉で痛めつけられる,など)。
性的虐待 性的な暴力を受けていた。
酒薬物 アルコールや薬物乱用者が家族にいた。
母親暴力 母親が暴力を受けていた。
精神疾患 家族に慢性的なうつ病の人がいたり,精神病をわずらっている人がいたり,自殺の危険がある人がいた。
家庭欠損 両親のうち,どちらもあるいはどちらかがいなかった。
服役 家族に服役中の人がいた。
ネグレクト 親に無視されていた(学校に行かせてもらえない,食事を作ってもらえない,など)。

以上からは、養育者からの影響を強く受けているように見えます。

非行・犯罪のアセスメント

この資料を参考にしました。


少年鑑別所においては、面接、心理検査、行動観察で非行少年の特性を理解しようとしているようです。
心理検査では、知能検査、性格検査、適性検査などを適宜組み合わせて実施しています。
行動観察では、以下の項目に着目して観察しているようです。

  • 知的能力
  • 行動傾向(特に対人傾向)
  • 情緒、意欲
  • 社会的態度、価値観
  • 生活習慣 など

また、以下の点は少年鑑別所で特に重視されているようです。

  • 職員(大人)による指導への反応性
  • 少年鑑別所でのルール・枠組みの理解、受け入れ
  • 集団場面での一定程度の適応(行動等の統制)

以上からわかることは、非行や犯罪など、反社会的な行動がテーマとなるため、矯正施設という統制された空間における集団の中での行動特性、適応性を見ているようです。

施設内処遇と社会内処遇

以下の記事を参考にしました。
www.moj.go.jp


施設内処遇とは、受刑者あるいは少年院に収容された少年に対する、刑務所あるいは少年院の中で行われる処遇です。
社会内処遇とは、刑務所や少年院などの施設の外で行われる、社会の中で行われる処遇です。保護観察官あるいは保護司による保護観察がこれにあたります。

保護観察官保護観察所に所属する国家公務員であるのに対して、保護司は地域で活動するボランティアです。

保護観察期間は、対象者は以下のルールを守る必要があります。

1. 一般遵守事項(対象者全員に付けられるルール)
(例)

  • 再び犯罪をすることがないよう,健全な生活態度を保持すること
  • 保護観察官や保護司の面接を受けること
  • 生活状況を申告し,必要に応じて生活実態に関する資料を提出すること
  • 転居や旅行をする場合には,事前に保護観察所長の許可をうけること

2. 特別遵守事項(事件の内容や事件に至った経緯等を踏まえ,個人の問題性に合わせて付けられるルール)
(例)

  • 遅刻,早退することなく,学校に通うこと
  • 就職活動や仕事をすること
  • 共犯者との交際を絶ち,接触しないこと
  • 被害者等に一切接触しないこと
  • 深夜に無断外出しないこと
  • 性犯罪者処遇プログラムを受けること
司法面接

以下の記事を参考にしました。
forensic-interviews.jp

司法面接とは、子ども(および障害者など社会的弱者)を対象に、以下の3つの目的を持って行う面接のことです。

以下に3つの目的を示します。

目的1:子どもからの聞き取りが子どもに与える負担をできる限り少なくする。
目的2:子どもから聞き取る話の内容が間違った誘導の結果ではないかという疑念がもたれる可能性をできるだけ排除する。
目的3:子どもの関わった事件が何らかの作為による虚偽の話ではなく実際にあった出来事であるかどうかを検討するための情報を得る。

コトバンクでは、司法面接は主に虐待を受けた子どもを対象とする面接のようです。
kotobank.jp


今回は以上です。
次回は(20)「産業・組織に関する心理学」をまとめます。