Muji Blog

いろんなトピックを備忘録的に発信していきます。トピック例:{画像処理、信号処理、心理学}

公認心理師試験対策:向精神薬の効果と副作用

はじめに

いよいよ明日に迫りました。
ブループリントを順番につぶしていく予定でしたが、間に合わなかった。

前日ということで確実におさえておきたい向精神薬について最後にまとめておきます。

向精神薬とは

向精神薬は中枢神経系に作用し、精神活動に何らかの影響を与える薬物です。
本来、薬物は中枢神経系に作用しません。
脳血管関門(BBB)というフィルターがあり、そこを薬物などの物質は通ることができないからです。
G○BAというチョコレートがあったかと思いますが、経口摂取してもBBBをGABAが通ることがありませんので、効果がないという指摘も以前ニュースになっていたかと思います。
気分を落ち着ける、という効果を期待したとき、GABAがBBBを通る通らないに関わらないところで落ち着ける効果がないとも言い切れませんし、このチョコレートで押されている気分を抑える効果を全面的には否定しません。

向精神薬の分類と概要を以下に整理します。

分類 概要
抗精神病薬 主に統合失調症の症状を抑えるために使用。
抗うつ薬 うつ病の治療に使用。一部の抗うつ薬強迫性障害や一部の不安症にも使用する。
抗不安薬 不安を抑える薬。
気分安定薬 気分の波の大きさを落ち着ける薬。双極性障害に使用される。
精神刺激薬 ドーパミン受容体に作用する。ナルコレプシーADHDに使用される。
睡眠薬 睡眠を誘導する薬。

上表を元に、各種向精神薬の効果と副作用を整理していきます。

各種向精神薬の効果と副作用

抗精神病薬

メジャートランキライザーとも呼ばれます。
ドーパミンD2受容体に作用し、ドーパミンの受容を遮断します。
このような受容体に対して、神経伝達物質の受容を遮断する働きを持つ薬物をアンタゴニストと呼びます。

統合失調症躁状態の方に選択される薬です。
定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬があります。
非定型抗精神病薬ドーパミンD2受容体だけでなく、セロトニン5HT2A受容体にも作用します。
また、ドーパミンD2受容体の拮抗作用は定型抗精神病薬に比べてゆるいです。

副作用として、口渇、便秘、錐体外路症状や、肥満といった代謝の異常、母乳が出るといった高プロラクチン血症などがあります。
錐体外路症状や口渇、便秘は、非定型抗精神病薬の方が定型抗精神病薬よりも少ないです。

抗精神病薬の副作用としての錐体外路症状とは、筋緊張低下‐運動亢進症候群の錐体外路症状を指し、筋緊張が低下して多動状態がみられます。
無意識に身体が動くような症状が見られます(ジスキネジア、舞踏病、アセトーぜなど)。

高プロラクチン血症とは、プロラクチンの分泌が促進される症状ですが、本来プロラクチンの分泌は視床下部でコントロールされます。
視床下部の障害によって脱抑制が起きるとプロラクチン分泌が過剰になり高プロラクチン血症が発症します。
なお、プロラクチンの分泌にはドーパミンも関わります。
高プロラクチン血症と関わるのが甲状腺機能低下症です。
甲状腺機能低下症が起きると、女性であれば無月経などの問題が起こります。

抗うつ薬

うつ病の治療に使用される薬物です。
抗うつ薬は、以下5種類あります。

副作用について、三環系および四環抗うつ薬では、抗コリン作用が生じます。
その結果、口渇、便秘、目のかすみ、排尿困難が生じます。

SSRIの副作用は、消化器系の問題(吐き気、下痢、食欲不振など)や、口渇、頻尿などがあります。
抗うつ薬としては効果と矛盾しそうな話ですが、SSRIの副作用として自殺念慮や自殺企図の増加も挙げられます。
また、躁転のリスクにも注意しながら使用する必要もあります。

抗不安薬

不安症の治療に選択されます。
特にベンゾジアゼピン系の抗不安薬トランキライザーマイナートランキライザー)とも呼びます。
GABA受容体にあるベンゾジアゼピン受容体に働き、塩素イオンの流入を促進します。
このような物質の流入を促進する効果のある薬物をアゴニストと呼びます。
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬には、効果時間の関係から、短時間型、中間型、長時間型に分類されます。

副作用としては、筋弛緩作用、健忘などがあります。

抗不安薬において最も留意すべき点は、依存性です。
依存性だけで言えば、アンフェタミン覚せい剤)に並ぶという知見もあります。
特に短時間型でそのリスクが高まりますが、薬を長期間使用し続けると効果が悪くなり、断薬における離脱症状も発生します。
この点から、最近ではベンゾジアゼピン系の使用は避け、抗不安薬による症状低下を図る薬物治療方針も最近では取られています。

気分安定薬

大きな気分の波を落ち着ける働きを持つ向精神薬です。
双極性障害の治療で選択されます。

てんかん薬は気分安定薬に分類され、気分安定薬として説明されるほとんどの薬剤が抗てんかん薬に分類されます。
白血球数の低下や肝機能の低下などが副作用としてあげられるため、全血球計算(CBC)や肝機能など、治療薬物モニタリングが必要です。

精神刺激薬

ADHDの治療などに使われます。
アンフェタミン系、キサンチン系、ニコチンやメチルフェニデートが含まれます。
先程アンフェタミン覚せい剤と述べましたが、キサンチン系にはコカインなども含まれており、日本で規制がかかっている薬物はこの精神刺激薬に属します。
医療行為として正しく使えば効果があるのですが、脳がはっきりするような効果から、乱用されやすい薬物です。
ADHDに使用されるのは、メチルフェニデート系に属するリタリンコンサータです。

睡眠薬

睡眠障害など、睡眠に困りごとがある方の治療に選択される薬物です。
ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系オレキシン受容体拮抗薬、抗ヒスタミン薬に分類されます。

睡眠薬における問題は、睡眠薬を服薬してでないと眠れないといった依存形成の問題です。
ベンゾジアゼピン系が含まれるように、薬物そのものにも依存性があるため、睡眠薬を使用せずに睡眠を改善する方法(心理療法など)にも注目されており、使用を控える流れもあります。


以上です。