Muji Blog

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公認心理師試験対策:③他職種連携・地域連携

はじめに

本記事は、2019年に実施される第2回公認心理師資格試験の自主学習のために、
ブループリントの項目順にキーワードとその概要を並べていきます。

ブループリントのPDFファイル

今回は、ブループリントの3番目、他職種連携と地域連携についてまとめていきます。

他職種連携と地域連携

公認心理師の法的義務には、「連携等」が含まれています。
この連携が今回のテーマになります。

他職種連携

公認心理師は、保険医療、福祉、司法、教育、産業と活動する領域が多岐に渡ります。
その中で、それぞれの領域の専門家と連携を取りながら支援を要する方の支援を行っていきます。

おそらく、CMやテレビ番組などで、「チーム医療」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
公認心理師ができる前から、臨床心理士が医療現場のチームの一員となって患者さんのケアを行ってきました。

「チーム」には、以下の2つの形があります。

項目 内容
垂直型チーム 医師のリーダーシップの下、各職種が分業する
水平型チーム 多職種が連携・情報共有しながら支援する

近年では、垂直型チームから水平型チームに移り変わりつつあるようです。

一方で、垂直型チームは、手術室や危機介入においては、時間が差し迫った状況で効果的な形式です。

また、公認心理師法では、連携について以下のように言及しています。

公認心理師は、その業務を行うに当たって心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治の医師があるときは、その指示を受けなければならない。

余談ですが、この「医師の指示を受けなければならない」という決まりについてかなり議論されたみたいです。
(主語はあえて省略しています。そして個人を指して言っていません。というより言い出したのが誰かまでは知りません。)

個人的には、医療現場においては身体症状も抱えた患者さんが多く、身体症状は薬物治療によってかなり変動するので、医師の指示をちゃんと受けることは重要ではないかと考えます。
筆者も以前は医療現場で働いていましたが、薬で経過ががらっと変わることも多々あったので、上記はその経験からの所感です。

また、指示を受けることとそれに従うことは別です。
ちゃんとしたデータとロジックがあれば、それを医師に伝え、こちらの提案が通ることもあります。

他職種連携とは、垂直型であれ水平型であれ、正確な情報の共有と論理的に妥当な提案をして症状の緩和、治療を効果的に進めることにあると考えます。

※だいぶ個人的な考えに走りすぎてしまいました。

円滑な連携・情報共有ができるためには、「生物ー心理ー社会モデル」が重要で、この3つの視点で多面的に問題をみることで連携が取りやすくなります。

また、支援を要する方々は、生物→心理→社会と3つのフェーズで変容していくとも考えられます。
具体的には、以下のように分けられるかもしれません。

フェーズ 関わる人 変容のしかた
生物 医師、看護師、理学療法士など 身体症状の緩和、睡眠の改善
心理 公認心理師臨床心理士など 認知機能の変容、行動の改善
社会 社会福祉士、教員など 職場復帰、復学
地域連携

支援を要する方々にとって身近な期間や団体である地域との連携が、問題の改善に重要な役割を果たします。
そのためには、公認心理師が、その地域においてどのようなリソースが活用できるのかを知っておく必要があります。
また、いつでも活用できるよう、その専門家とコミュニケーションをとっておくことは重要でしょう。

家族との連携

支援を要する方々の支援に際して、面接室の中の本人だけでなく、ご家族とも連携し、日常生活場面から支援を考えていくことが求められることも多々あります。

例としてかなり話を単純にしますが、面接の中で要支援者本人が赤色に強く反応して衝動的な行動を引き起こしてしまうことがわかったとき、ご家族にその旨を伝え、衝動的な行動のきっかけとなる赤色のものを要支援者の目につかないところに置くといった環境調整が行われます。

ご家族の方も、本人への家庭での支援に疲弊していることがあるので、こういった連携を進んで協力してくれることがあります。
逆に言えば、疲弊しているがために協力的でないこともあります。
いずれにしても、家族との連携は、家族の方のこれまでの負担を労い、連携を取ることで負担を長期的に軽減できる可能性があることをわかってもらうことが大事に思えます。

自己責任と自分の限界

前回の記事で、心理師は生涯を通して学習を続け、スキルを高めていく話をしました。
これは裏を返せば、問題に対して専門家としての能力が届かないような事例を担当するか否かの判断を要するケースも十分にあるということです。
したがって、その時点での専門家としての能力と目の前にある問題とをきっちりと見比べる必要があります。
判断に困ったときは、所属する機関の関係者と十分に話し合い、それでも自分が担当する場合はどこまでができるのかを明確にしておくことが重要です。
そして、要支援者に対しても、どこまでできるのかを説明し、その上で何のための面接にするのか、つまり目的を共有しておくことで安全に進められます。

※この話題でもかなり個人的な所感が入っています。

支援に関わる専門職と組織

この項目をどうまとめたらよいか、この一言からなかなか判断つかないですが、調べた限りで公認心理師が関わりそうな機関を並べてみます。
『臨床心理学』という書籍も参考にしました。

領域 機関
保険医療 病院、診療所、精神保健福祉センター、保健所、保健センター、リハビリテーションセンター、デイケア
教育 学校、教育センター
司法 家庭裁判所、少年院、少年鑑別所保護観察所児童自立支援施設
福祉 児童相談所、家庭児童相談室、療育施設、児童養護施設、女性相談センター、介護施設、デイサービス
産業 企業内の相談室、健康管理センター、外部EAP機関、地域産業保険センター、公共職業安定所ハローワーク

今回は以上です。
この項目は大項目、中項目、小項目のレベル感が分かりづらかった…
次は④心理学・臨床心理学の全体像です。

参考文献

一般財団法人 日本心理研修センター監修『公認心理師 現任者講習会テキスト 2018年版』金剛出版
丹野ほか『臨床心理学』有斐閣